このドクターに恋してる
 私が首を傾げると、院長は目を細めた。
 あ、笑顔が郁巳さんに似てる!
 キリッとした目元が郁巳さんに似ていると以前から思っていたが、笑った顔が特にそっくりだった。

「私と郁巳の関係をご存じかな?」
「はい、親子だと知っています」
「郁巳の母親のことも?」
「郁巳さんが子どもの頃に亡くなったと聞いています。それで、あの、浅葉家に引き取られたとも」
「郁巳は岩見さんのことを信頼しているみたいだね。郁巳はあまり人に心を開かないけど、やはり恋人には違うんだね」
「恋人……」

 ぽつりと呟くと、院長は訝しげな表情をした。

「恋人だと郁巳から聞いているけど、違うかね?」
「い、いえ! 違いません。合っています。郁巳さんとお付き合いさせていただいております」

 私が焦りながらも郁巳さんとのことを話すと、院長は「ははっ!」と笑った。

「そう硬くならなくていいよ。先日、妻が郁巳に縁談相手の身の上書を勝手に置いていったらしいね。郁巳から恋人がその場にいて、傷ついていたと聞いた。返してほしいと持ってきたんだ」
「そうですか……」
「申し訳ないね。妻の勝手な行動で、悲しませてしまって」
「いいえ、あ、はい……悲しくなりました」
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