このドクターに恋してる
 兄が感慨深げに何度も頷く。

「俺たちは二人の結婚に賛成です。陽菜は母にとって大切な娘で、俺にとって大切な妹です。郁巳先生も陽菜を大切にしてください」
「はい、大切にします」
「陽菜も郁巳先生を大切にするんだぞ」

 私はうんと返事をした。

「もちろん大切にするよ。お母さんもお兄ちゃんもありがとう」
「ありがとうございます」

 私たちはふたたび揃って、頭を下げた。

「さあさあ、冷めないうちに残りを食べて」

 母に明るい声で促されて、私たちはパンケーキを再度食べ出す。
 ふわふわのパンケーキは幸せな味がした。
 私の大好きな家族が私の大好きな人を認めてくれるのは、最高に嬉しい。

「結婚式はいつどこでするとか、考えているの?」

 母の問いに私が答える。 

「二人だけで海外挙式しようと思うの」
「ええっ、二人だけで? 陽菜の花嫁姿、見たいたのにー」

 母が悲しそうな顔をした。
 院長の奥さんと光一先生が式には出ないと言い張っていると聞き、二人だけでやろうかと考えていた。
 母と兄には郁巳さんの家庭のことを話していない。
 母は普通の結婚式をすると思っていたようで、ガッカリさせたことに心苦しくなった。

「お母さん、ごめんね」
「二人で決めたことなら仕方ないけど、でもどうして?」
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