このドクターに恋してる
 今度は郁巳さんが答えた。

「すみません、私の家庭の事情で……実は私の母は父の愛人で、私が子どもの頃に亡くなりました」
「えっ……」

 初めて知る事情に母は息をのんだ。
 郁巳さんは淡々と浅葉家に引き取られて、父親以外の家族とは不仲であることを話した。
 母と兄は驚きながらも、真剣に聞いていた。

「……それで私のほうの家族が揃わないので、二人だけで式を挙げようと考えました。でも、もし良ければ、参加しませんか?」
「えっ? どういうこと?」

 郁巳さんの提案に郁巳さん以外の三人が首を傾げる。

「浅葉側は私だけですが、岩見さん側はご家族で参加してもいいんじゃないかなと思いました。ご家族の皆さんに祝福してもらえたら、陽菜さんも喜ぶと思いますので、いかがですか?」

 兄が母と顔を見合わせて、口を開く。

「参加できることはありがたいけど、いいんですか? うちだけの参加で」
「構いません。父からは参加できなくて申し訳ないから、好きなようにしてほしいと言われています。あ、話が遅れてしまいましたが、父から後ほど、ご挨拶をさせてもらいたいと言付かっています」
「うちも挨拶はさせてもらおうと思っているから、それはいいんですけど。母さん、どうする? 郁巳先生がこう言ってくれているんだから、うちは参加させてもらう?」
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