このドクターに恋してる
 母は兄に聞かれて「どうしようかな」と呟いた。
 私は郁巳さんの腕に手を置く。

「郁巳さん、本当にいいの?」
「うん、お母さんとお兄さん、それとお兄さんの奥さんと美結ちゃんに来てもらいたい。きっと楽しい挙式になると思うよ」
「たしかに楽しくなりそうではあるけど」

 私は郁巳さんが孤独を感じて辛い思いをしてしまうのではないかと考えて、彼の提案を受け入れることを躊躇った。
 母もたぶん同じように考えていると思う。
 郁巳さんが私の手に自分の手を重ねた。

「陽菜、俺のことは気にしないで。陽菜と結婚できることが最高に嬉しいんだから」

 私も郁巳さんと同じ気持ちだったから、結婚式はどんな形でもよかった。
 郁巳さんの厚意を無駄にできない。
 でも、本当にいいのかな……もう少し話し合ってから決めたほうが……。
 どう答えようかと迷っていると、カフェのドアが開いて、元気な声が飛び込んできた。

「ただいまー! あー、ほんとだ。いくみせんせーがいるー」

 保育園の服を着た美結が嬉しそうな顔で、私たちの前まで来た。美久さんも一緒だ。
 美結は兄の膝の上に座った。
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