プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「おい、柊仁。莉都花に絡むのやめろ」

 この会場の主役の一人である大輝が、柊仁に詰め寄っている。

 正義感の強い大輝らしい行動だが、これでは悪目立ちするから今は勘弁してほしい。

 莉都花のその心の願いを汲み取ってくれたのは、莉都花を知っているはずの大輝ではなくて、まさかの柊仁だった。

「別に絡んでないって。普通に話してるだけだから、お前は自分の席に戻ってろよ」

 柊仁は優しい口調で大輝を諭している。

 柊仁の言葉にツッコみたい部分はあれど、穏便に済ませたい莉都花はこくこくと頷く。

 しかし、大輝は納得がいっていないのか、すぐには離れてくれない。

「いや、でも……」
「大輝が今、一緒にいてやるべき相手は、他にいるんじゃないか?」

 柊仁の問いかけに、大輝はちらっと美遥のほうへ目をやる。美遥は心配そうにこちらを見ている。

 まったくもって柊仁の言う通りだ。新婦の美遥をほったらかして、新郎がこちらにかまけるのはよくない。

 大輝もそれはわかっているのか、歯切れの悪い言葉を返す。

「それはそうだけど……でも、莉都花が困ってるだろ」

 いや、困らせているのは大輝もだ。

 莉都花はそう言いたい気持ちを堪えて、大丈夫だと大輝を宥めようとするが、柊仁が俄に冷たい空気を漂わせ始めたから、莉都花のその言葉は外には出なかった。
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