プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 柊仁は乾いた笑いをこぼし、周囲には聞こえないほどの小さな声で、でも、強くそしるように、大輝を責め立てる。

「はっ、困らせてるのは大輝だろ? 彼女をこんなところに呼んで。自分との関係性わかってるのか?」

 莉都花の心臓がドクンと大きな音を立てる。

 まるで莉都花と大輝の関係性を知っているかのような柊仁の発言に、動揺を隠せない。

 莉都花の知らない人がなぜそれについて言及しているのだろうか。知っているのはごく近しい人だけのはずなのに。そして、それはこの場では絶対に知られたくないことなのに。

 莉都花が戸惑い混乱している一方、大輝は戸惑ってはいないものの、言葉を詰まらせている。

「……わかってる。けど――」
「いや、わかってないだろ。わかってたらこの場に呼べるわけない」
「それは、ちゃんと莉都花の気持ちも聞いた上で――」
「見えてるものだけがすべてだと思うなよ? 内に隠してるものだってあるんだ。それをわかってないくせに、わかってるなんて言うな」

 俄に莉都花の胸が痛む。初対面であるはずの柊仁に、心の内を言い当てられ、不意を突かれた莉都花は思わず涙を浮かべそうになる。

 莉都花ですら見ない振りをしてきたのに、それをこの場で暴くのはやめてほしい。

 莉都花は、大輝と美遥の前では何があっても笑っていないといけない。そうしないと二人が報われない。だから、今日一日取り繕って笑っていたのに、これでは台無しになってしまう。

 莉都花はもう一度笑みを貼り付けようとするも、せっかく蓋をして隠していた過去が思い起こされてしまって、上手くは笑えなかった。
< 12 / 154 >

この作品をシェア

pagetop