プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
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 大輝との出会いは今から七年前、大学四年の春のこと。

 同じ大学の農学部に所属していた莉都花と大輝は、同じ研究室に配属されたことがきっかけで出会った。

 莉都花も大輝も大学生としては割と真面目なほうで、二人で研究について議論や相談をすることも多かったから、二人は自然とその仲を深めた。

 夏になる頃には友人と呼べるくらいの仲になっていた。

 でも、二人の気持ちは同じではなかった。

 莉都花が大輝に対して純粋な友情を抱いていた一方、大輝はそれだけではなくて、恋心も抱いていたのだ。

 夏休みに入る直前、好きだ、付き合ってほしいと大輝から告白され、莉都花は彼の想いを知った。

 大輝のストレートな告白は嬉しかったし、大輝のことは人として好きだったけれど、莉都花には、どうしても恋愛に前向きになれない事情があって、その関係に踏み込むことにはためらいがあった。

 だから、莉都花は一度大輝からの告白を断っている。恋愛関係になるのは怖い、このまま友人でいようと。

 けれど、大輝はその理由では納得してくれなくて、結局、告白の落としどころとして、二人は夏の間にお試しのデートを重ねることになった。

 映画館に行ったり、水族館に行ったり、ショッピングをしたりと、莉都花は大輝と定番のデートを重ね、そうして莉都花が感じたのは、大輝は変わらないという安心感だった。

 デートをしていても、大輝は研究室にいるときとあまり変わらなくて、莉都花はそれがとても居心地よかった。今まで築いた関係がそのまま保たれていることが嬉しかった。

 ただ、デートの終わりには、大輝は必ず莉都花への気持ちをストレートに告げてくれたから、そのことにだけいつもドキドキとした。

 そんな穏やかだけれど、甘酸っぱいデートを重ねれば、きっと誰だって絆されるだろう。

 大学四年の秋。莉都花の二十二歳の誕生日と共に、とうとう莉都花と大輝は付き合いはじめた。

 そう、二人はあの頃恋人だった。

 真面目で優しい大輝との恋愛は、とても心地よくて、たぶん付き合って一ヶ月もすれば、大輝にはっきりとした恋心を抱いていた。恋愛に対する不安感も次第に薄れていき、このまま大輝との関係がずっと続いていくと思っていた。莉都花が己の宿命に翻弄されるまでは。
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