プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「え、待って待って。まだ帰んないでよ。せっかく会えたんだからさ」

 よくもまあそんなことが言える。『さっきは無視したくせに』。心の中で思ったその言葉は、莉都花の意に反して、しっかりと表に出てしまった。

 柊仁は軽く手を合わせて、謝る素振りを見せている。

「あー、それはごめん。今日一緒にいた子たち、わりと過激なタイプだからさ、りっかちゃんと知り合いってバレないほうがいいと思って。無視してごめんね」

 莉都花を無視したのは一応理由があってのことらしい。だが、その理由を聞いても、まったく納得はできない。

「……そんな子連れてこなければ、いいじゃないですか」

 莉都花は小声で毒づいた。

「ははっ、りっかちゃん、言うね。まあ、りっかちゃんが相手してくれるなら、もう女の子は連れてこないけどね。俺に会いに来てくれたんだろ?」

 莉都花は複雑な表情を浮かべる。確かに今日は柊仁に会うために、ここへやって来たが、変な誤解は生みたくない。

 莉都花は柊仁の問いに、今日ここへ来た目的の一つである、ある物を差し出して答えた。
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