プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「これ、返そうと思って来たんです」

 差し出したそれは、あの日に押しつけられたビンゴの景品。莉都花はこの景品の扱いにずっと困っていた。

「え、これずっと開けずに置いといたの? ははっ、りっかちゃん真面目すぎ」
「だって、それ女の子にあげる約束してたんですよね? だったら、私がもらっちゃダメじゃないですか」
「え? いやいや、あの子は自力でビンゴ揃えたから、これはいらないって言われたんだって。だから、これはりっかちゃんにあげる」

 差し出した品を押し返される。あの女性に渡さなかった理由はわかったが、莉都花がもらう理由もない。

「……でも、私がもらう理由もないので」
「えー。うーん、じゃあ、お詫び? 大輝のことで迷惑かけたお詫び。それならいいだろ?」

 ここで大輝の名が出てくるとは思わず、莉都花は一瞬たじろぐ。しかし、それを柊仁に悟られるのは嫌で、「迷惑かけた自覚あったんですね」とわざとらしく嫌みを返した。

 柊仁は莉都花の返しに頷いている。

「うん。だから、もらってよ」

 この男には嫌みも効かないらしい。これ以上押し問答をしていても、莉都花が疲れるだけだ。

 それならばと渋々景品を受け取れば、柊仁は大層満足そうに微笑んだ。
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