プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「それで? 本当にそれだけのためにここに来たわけ?」
「それは……」

 するどい柊仁の問いに、莉都花は少し戸惑う。

 今日一番の目的は、柊仁に大輝とのことを訊くことだ。一応覚悟は決めてきたが、この話をすれば、莉都花の暗い過去も自然と思い起こされるだろう。だから、簡単には口にできない。

 なかなか次の言葉を発せない莉都花に、柊仁は「ん?」と優しく続きを促している。

 もうすっかり莉都花が話す雰囲気ができあがってる。このまま黙っていてもしかたがないだろう。

 莉都花は心の準備を整えるためにも、比較的口にしやすいことから訊いてみた。

「……どうして私の名前を知ってるんですか?」

 あの日に答えてもらえなかった問いをもう一度投げかけた。

 柊仁はそれににっこりと笑って答える。

「それはー、りっかちゃんがかわいいから?」

 まったく回答になっていない返しに、莉都花は苛立ちを覚える。

「もう! ふざけないでください!」
「ははっ、怒ったりっかちゃんかわいい」

 本当にふざけるなと莉都花が睨みを利かせれば、柊仁は「ごめん、ごめん」とまったく悪いとは思っていなさそうな雰囲気で謝ってきた。

 かと思えば、いきなり核心をついてくる。

「りっかちゃんさ、俺が言わなくてもわかってるだろ。違う?」

 莉都花は押し黙る。確かに莉都花の中で答えは出ている。というより、それ以外には考えられない。しかし、自分からは口にしたくなくて、あえて柊仁に尋ねた。

 だが、柊仁は莉都花に言わせるつもりらしい。目線で言ってみろと促している。

 莉都花は、モヤモヤを解消するんだろ、と自身に言い聞かせ、覚悟を決めてから柊仁に答えを返した。
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