プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 ビンゴゲームが終了し、歓談の時間が訪れても、莉都花は変わらず同じ席にいて、同じテーブルの人の話をなんとなく聞いている。

 莉都花の直接的な知り合いは新郎新婦以外にいないから、莉都花が積極的に会話に参加しなかったところで誰も気に留めない。適度に相槌を打っておけば十分だ。

 これなら二次会が終わるまで平和に過ごせるだろうと莉都花は気を緩めるが、その平和が守られているのもあと少しの間だけだった。


 しばらくして、会話の流れが止まり、半数の人が別のテーブルの人らと交流をしに席を離れた頃、莉都花は自分のグラスの飲み物をちびちびと飲んでその場をやり過ごしていた。

 莉都花の他にも二人の男性がこの場に残っているが、二人は彼らにしかわからないような話をしていて、莉都花がその会話に参加できる雰囲気ではない。自然と飲み物へ手がいくのはしかたのないことだろう。

 静かに過ごせるのは莉都花にとってはありがたいことだし、このまま飲み物と対峙する時間が続いても問題ない。

 この会もそのうち終わるだろうし、あと少しだけ頑張ればいい。そう思いながら、莉都花が疲れた体をほぐすようにテーブルの下で軽く足を伸ばしていたそのとき、突然背後から声をかけられた。莉都花は思わず体をびくつかせる。

「そっち詰めてくんない?」
「え?」

 声のした方向へ目を向けると、そこにいたのは、最も関わり合いになりたくない、あの柊仁という男だった。
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