10人家族になりました!

自己紹介

「じゃあ、お兄ちゃんたちは?」

私はちょっと緊張しながら、朱莉さんの隣に座っていた男の子たちに目を向けた。
柚姉がいっくんと遊んでいるのをみて、私も“お姉さん”らしく、がんばらなきゃって思ったの。
「この子たちは理人(りひと)と綾人(あやと)。高ーで双子なの。似てないでしょ笑?」
朱莉さんが紹介してくれて、私はふたりに向かってぺこりとお辞儀をした。
「はじめまして! 詩です! 小学5年生です!うちのお姉ちゃん達も双子なんですよ!しかも高一!すごい偶然っ!!」
私が元気よく言うと、一瞬みんなが固まった。
「本当だ……双子!? へえ、すごいな」
綾人くんが照れくさそうに目をそらしながら言った。
「似てる……かな?」
私はスマホで撮っておいたお姉ちゃんたちの写真を見せた。怜姉は薄いブルーのワンピース、柚姉はピンクのTシャツを着て、髪型も違うから一見して「双子!」って
感じはしない。
「なるほど、こうやって並べると面影があるね」
綾人くんがじっと画面を見つめる。思ったよりも真剣に見てくれて、ちょっと、いやめっちゃ嬉しかった。少し心の距離が近づいたみたいなんだもん!
得意げに話す私を見て、綾人くんが小さく笑った。
「そっか。詩ちゃん、姉ちゃんたちのこと好きなんだね」
「もちろんだよ! すっごく大好き!!」
私の声がちょっと大きくて、柚姉が「呼んだ〜?」ってニッと笑いながらこっちを振り向く。
「詩、いっくんと遊んでみる?」
「えっ、いいの!?」
柚姉に促されて、私はちょっとドキドキしながら郁斗くんの前にしゃがんだ。
「いっくん、こんにちは〜。お姉ちゃんだよ〜」
「……」
郁斗くんは、じーっと私の顔を見つめたまま、口をとがらせた。うう、警戒してる。かわいいけど、難易度高そう……!
でも、私もお姉ちゃんだし、がんばらなきゃって思って手を差し出した。
すると——

「……ん!」

ちっちゃな手が、私の指をにぎってくれた。
「えっ、かわ……!」
思わず声が漏れて、柚姉と目が合った。
「でしょ〜?」
「でしょ〜じゃないよ〜! もう! かわいすぎる〜!!」
みんながくすくす笑って、さっきよりも空気が柔らかくなってるのが分かる。

そのとき——

「ただいまーっ!」

玄関のドアがバタンと開いて、お父さんが勢いよく帰ってきた。
「ただいまー!!!」

「どこ行ってたのよ、パパ」
「ごめーん、急に職場でトラブルあってな……でも、今からしっかり“家族会議”するぞ!」

「家族会議……?」

みんなの視線が一斉にお父さんに集まる。
「そう! 大事な、大事な初めての家族会議だ!」

そしてお父さんは胸を張って言った。

「今から、この家のルールを決めるぞーっ!!」

「ルール……?」
私と柚姉が顔を見合わせて、その横では理人くんと綾人くんがぽかんとしていて少し離れたところでは怜姉が呆れていた。
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