一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜
なんだかんだと支度を済ませ、寧々と虎鉄、香蘭と晴明4人は馬車に乗り雨が降りしきる中、近くにあるという洞窟の蒸し風呂へと足を運ぶ。
入り口には門番と店主が待ち構え、既に貸し切りの手配が済んでいた。
「護衛も我が隠密隊で囲みましたからご心配なく。」
虎鉄の仕事は常に抜かりなく、晴明の行く先々を安全で過ごしやすいものとする事だ。
「それではごゆるりとお過ごし下さいませ。」
虎鉄は入口で片膝を付き臣下の礼をとる。
「えっ?私も一緒に入りつもりだったのに…。」
寧々は香蘭の身の回りを手伝う為に、側にいて一緒に付き添うつもりだったから不服そうに兄を睨む。
「心配しなくとも香蘭の世話は俺がする。ここからは兄妹水入らずで過ごせ。」
晴明がニヤリと笑って香蘭の手を取り、洞窟の中へと足を進める。香蘭は少し不安そうな顔で寧々を振り返りながら、静々とその後を着いて行く。
晴明にとって今や1番の強敵は寧々であり、例え同性同士だとしても、香蘭を独り占め出来るのはこの俺だと、密かに嫉妬にも似た対抗心を抱いていた。
暗がりの洞窟を行燈一つで先に進む。
晴明がいるから怖くはないが、少しの不安とドキドキでつい繋いだ手を思わずぎゅっと握ってしまっていた。
そんな香蘭の手を優しく握り返しながら、
「足元に気を付けろ。」
と、晴明が先を先導してくれる。
狭いでこぼことした洞窟をぬけると、突然開けた広い空間に辿り着く。
そこは湯気が立ち込め靄がかかった広間で、思わず上を見上げれば不思議に光った光苔が神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「…きれい…。まるで星空みたいですね。」
香蘭は思わず見惚れて天を仰ぐ。
温かいというよりは、じっとしてても汗が浮かび上がるくらいの室温だ。
「香蘭、汗をかくまえに沐浴着に着替えた方が良い。」
ぼぉーっと香蘭が天井を見上げていた間に、晴明は服を脱ぎ沐浴着に着替えていたようだ。腰に白い布を纏っただけの姿を見て、その均等に整った筋肉に思わず目を奪われる。
他の男の人は知らないけれど…男の人はみなこんなにも鋼のような筋肉を持っているのかしら…?と、香蘭は見つめてしまう。
「香蘭?そこに衝立があるから、そこで着替えるといい。なんなら手伝うか?」
いつまでも動かない香蘭を見かねて晴明が揶揄う。
「だ、大丈夫です。自分で出来ますから…。」
香蘭はハッと我に帰り、晴明が脱ぎ散らかした衣服を拾い集め、パタパタと衝立の向こうに隠れこむ。
その姿を可愛いなと晴明は笑いながら見つめ、それにしても神秘的なところだと周りを見渡す。
素足になれば地中からの熱が足の裏に伝わって熱いくらいだ。
全体に敷き詰められたござの上に乗れば、程よい温かさを足裏で感じる。
中央にはコポコポと温水が湧き上がり、足をつければ少し熱いくらいの温度だった。
晴明は早る気持ちを抑えつつ、香蘭の着替えが終わるまで近くの長椅子に座り待つ事にする。
近くの机の上には、氷を引き詰めた器の中に、葡萄酒や果実を絞った飲み物に、水やお茶類がそれぞれガラスの瓶に入れられ、所狭しと並んでいる。
晴明は葡萄酒を銀の器に自ら注ぎ、ゴクゴクと飲み干す。
酸味も甘味も程よくあり、とても飲みやすい葡萄酒ですかさずもう一度継ぎ足して、しばらく味わっていた。
入り口には門番と店主が待ち構え、既に貸し切りの手配が済んでいた。
「護衛も我が隠密隊で囲みましたからご心配なく。」
虎鉄の仕事は常に抜かりなく、晴明の行く先々を安全で過ごしやすいものとする事だ。
「それではごゆるりとお過ごし下さいませ。」
虎鉄は入口で片膝を付き臣下の礼をとる。
「えっ?私も一緒に入りつもりだったのに…。」
寧々は香蘭の身の回りを手伝う為に、側にいて一緒に付き添うつもりだったから不服そうに兄を睨む。
「心配しなくとも香蘭の世話は俺がする。ここからは兄妹水入らずで過ごせ。」
晴明がニヤリと笑って香蘭の手を取り、洞窟の中へと足を進める。香蘭は少し不安そうな顔で寧々を振り返りながら、静々とその後を着いて行く。
晴明にとって今や1番の強敵は寧々であり、例え同性同士だとしても、香蘭を独り占め出来るのはこの俺だと、密かに嫉妬にも似た対抗心を抱いていた。
暗がりの洞窟を行燈一つで先に進む。
晴明がいるから怖くはないが、少しの不安とドキドキでつい繋いだ手を思わずぎゅっと握ってしまっていた。
そんな香蘭の手を優しく握り返しながら、
「足元に気を付けろ。」
と、晴明が先を先導してくれる。
狭いでこぼことした洞窟をぬけると、突然開けた広い空間に辿り着く。
そこは湯気が立ち込め靄がかかった広間で、思わず上を見上げれば不思議に光った光苔が神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「…きれい…。まるで星空みたいですね。」
香蘭は思わず見惚れて天を仰ぐ。
温かいというよりは、じっとしてても汗が浮かび上がるくらいの室温だ。
「香蘭、汗をかくまえに沐浴着に着替えた方が良い。」
ぼぉーっと香蘭が天井を見上げていた間に、晴明は服を脱ぎ沐浴着に着替えていたようだ。腰に白い布を纏っただけの姿を見て、その均等に整った筋肉に思わず目を奪われる。
他の男の人は知らないけれど…男の人はみなこんなにも鋼のような筋肉を持っているのかしら…?と、香蘭は見つめてしまう。
「香蘭?そこに衝立があるから、そこで着替えるといい。なんなら手伝うか?」
いつまでも動かない香蘭を見かねて晴明が揶揄う。
「だ、大丈夫です。自分で出来ますから…。」
香蘭はハッと我に帰り、晴明が脱ぎ散らかした衣服を拾い集め、パタパタと衝立の向こうに隠れこむ。
その姿を可愛いなと晴明は笑いながら見つめ、それにしても神秘的なところだと周りを見渡す。
素足になれば地中からの熱が足の裏に伝わって熱いくらいだ。
全体に敷き詰められたござの上に乗れば、程よい温かさを足裏で感じる。
中央にはコポコポと温水が湧き上がり、足をつければ少し熱いくらいの温度だった。
晴明は早る気持ちを抑えつつ、香蘭の着替えが終わるまで近くの長椅子に座り待つ事にする。
近くの机の上には、氷を引き詰めた器の中に、葡萄酒や果実を絞った飲み物に、水やお茶類がそれぞれガラスの瓶に入れられ、所狭しと並んでいる。
晴明は葡萄酒を銀の器に自ら注ぎ、ゴクゴクと飲み干す。
酸味も甘味も程よくあり、とても飲みやすい葡萄酒ですかさずもう一度継ぎ足して、しばらく味わっていた。