ご先祖様の力を借りて。
電車に乗って、近くの水族館に着いた。

ここにくる途中、色々な人に見られて居心地が悪かった。

それに、海晴のことは見てほしくないなと思う。

……だってかっこいいから。

食堂から移動している時は気づかなかったけど、海晴はおしゃれをしている。

いつもより何倍もかっこよくて、誰にも見てほしくないと思ってしまう。

まぁそんなことは置いておいて、水族館だ。

海晴と一緒にチケットを買い、中に入る。

中は涼しく、少し暗かった。

すぐ近くに最初の水槽があり、早歩きで近づく。

水槽の中にはたくさんの魚が泳いでいて、とても綺麗だ。

思わず見惚れてしまう。

水槽の上から照らしているライトが魚に反射して、キラキラと輝いている。

なんで今までこなかったんだろう……ご先祖様たちも着いてこれば良かったのに。

ご先祖様たちは今、部屋にいる。

デートの邪魔をしたらいけないからって……気にしないのに。

でもいちおう、お母さんと優幻様は着いてきている。

海晴がどんなエスコートをするのか、見極めるためだと言っていた。

隠れているから、どこにいるかはわからないけど。
< 140 / 149 >

この作品をシェア

pagetop