ご先祖様の力を借りて。
「……写真でも撮ったらどうだ」


水槽に見惚れていると、後ろから海晴が話しかけてきた。

……そうだ、写真を撮ればご先祖様たちにも見せることができる。

写真を撮ることは少なかったから、忘れていた。

私はスマホを取り出して、カメラを構える。

でも、うまく映らない。

少しの間苦戦していると、海晴が言った。


「……貸してみろ」

「うん」


スマホを渡すと、慣れた様子でスマホを構えて何枚か写真を撮る。

縦向きの写真、横向きの写真、私も写っている写真。

色々な写真を撮った海晴は、スマホを私に返す。

撮ってくれた写真を見てみると、水族館の雰囲気と水槽が綺麗に写っていた。

私が撮った写真は魚がブレてしまっているのに、海晴が撮った写真はしっかりと写っている。

どうやって撮ったんだろう……すごいな。

私は感心しながら、お礼を言う。


「ありがとう」

「……別にいい」
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