ご先祖様の力を借りて。
「ごちそうさま」


海晴の声が聞こえて、前を見てみる。

海晴のお皿は空で、もう食べ終わったみたいだ。

早いな、と思いながら、自分のご飯を食べ進める。

残りのご飯はもう少なかったので、すぐに食べ終わる。

私が食べ終わると、海晴はお盆を持って立ち上がった。

私も立ち上がって、扉を開ける。

海晴は腕を怪我しているし、たぶん私が開けた方がいい。

さっきも私が開ければよかった。

少し痛そうにしていたし。


「……助かる」

「別に……」


怪我が悪化する方が困る。

海晴が外に出たので、私も出る。

やはり注目されていて、少し居心地が悪い。

私と海晴はお盆を片付けると、すぐに食堂を出た。

海晴はそのまま部屋がない方向に進む。

少し不思議に思ったが、医務室に行くことを思い出す。

そういえは、こっちの方に来たことはなかった。

私は周りを観察しながら、海晴についていく。
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