ご先祖様の力を借りて。
「ここだ」


そう言って、海晴が止まった。

私も止まって、扉を観察する。

扉には医務室と書かれたボードがかかっており、ここが医務室だということがわかる。

海晴は扉を開けると、中に入った。

私も中に入る。

中にはベットが五つもあり、全体的に白かった。

私がキョロキョロしながら観察していると、中にいた男の人が海晴に話しかけた。


「どうしたんだ、海晴」

「少し、腕を痛めた」

「またかい?」


男の人は顔を顰めて、ため息をつく。

……誰だろう。

白衣を着ているし、お医者さん?

私が疑問に思っていると、男の人がこちらを向いた。


「この人も怪我をしたのかい?」

「いや、医務室の場所を教えようと」


男の人はもう一度ため息をついて、海晴を椅子に誘導する。

海晴は素直に従い、椅子に座った。

男の人は海晴の腕に、手をかざす。

すると、腕の赤みが引いていった。

私が驚いていると、男の人が自己紹介をしてくれた。
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