人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 ***

 その週末。
 私が仕事へ向かおうと家を出たところで、共用部の廊下を掃除する女性と出会った。小柄で優しい感じの女性は、エプロン姿で上着を羽織っている。

「おはようございます」

 声を掛けると、女性は「あら?」と、こちらを振り向く。そのとき、隣の部屋の玄関から琉人くんと愛入ちゃんが飛び出してきた。

「お母さん、行ってきまーす」

 ふたりは声を揃えてそう言うと、階段を駆け下りてゆく。

「あ、成田さんの奥さんでしたか!」

 私がそう言うと、彼女は「騒がしくてすみません」と苦笑いを浮かべた。

「成田勝一朗の妻、春海(はるみ)です。あなたは――」

「隣の部屋に引っ越してきました、羽田勇朔の婚約者の伊丹芽郁と申します。どうぞ宜しくお願いいたします」

 そう言って頭をぺこりと下げる。すると、なぜか春海さんはふふっと笑った。
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