凄腕な年下外科医の容赦ない溺愛に双子ママは抗えない【極上スパダリ兄弟シリーズ】

「……そう。強心薬を投与して。血中の酸素濃度が低下してたら、酸素吸入を。あとの指示は……」
 副社長の声が聞こえてきてハッと目が覚めたが、頭がズキズキと痛む。
 二日酔い?
 まだボーッとする頭で起き上がり、目を何度か瞬いた。
「ここ……どこ?」
 知らない部屋に、キングサイズのベッド。しかも……私は裸だ。
 どうして……と考えようとして、昨夜のことを一気に思い出した。
 バーで副社長の双子の弟に会って、彼と一夜を共にして……。
 あの声は副社長じゃない。涼さんだ。
 彼は隣の部屋で誰かと話している。聞こえてくる内容からすると、病院の関係者だろう。
 急に心臓がバクバクしてきた。
 あ~、酔っていたからといって、副社長の弟相手になにをやってるの!
 彼に合わせる顔なんてない。早くここから出ないと……。
 顔面蒼白になりながらベッドを下りて、床に落ちている下着を身につけ、ドレスを着る。
 ジッパーを上げようとするが、最後まで閉まらなくて焦りを感じた。
「あー、こんな時になんで」
 小声で毒づくと、そばに転がっていたパンプスを履き、バッグを拾い上げる。
 急がなければ。彼はまだ電話をしている。
 慎重にドアを開け、左右を確認し、足音を立てずに寝室を出た。
 どうか涼さんが戻ってきませんように。
 必死に祈りながらなんとか部屋を出ると、小走りでエレベーターに飛び乗った。
 心臓発作を起こしそう。
 寂しいからって、どうして自分から誘うような真似をしたの?
 こんなこと生まれて初めてだ。
 しかも相手はよりによって副社長の弟。大失態もいいとこ。
 でも、今まで涼さんと顔を合わせたことはなかった。
 彼はAYN商事の社員じゃないし、彼が勤務している病院に行かなければもう会うことはないだろう。
 涼さんだって、昨夜は酔った私に仕方なく付き合ってくれただけ。
 私のことなんてきっとすぐに忘れる。だから、私も忘れなきゃ。
 自分の部屋に戻ると、荷物をまとめてホテルをチェックアウトした。

※試し読みとなっております。

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