凄腕な年下外科医の容赦ない溺愛に双子ママは抗えない【極上スパダリ兄弟シリーズ】
 それに、彼が女目当てじゃないとわかるから、触れられても鳥肌は立たない。
「下心がないとは言えない」
 彼の口から意外な言葉が出てきて、思わず聞き返した。
「え?」
「ある意味、一番危険な男かもしれません」
 どこか謎めいた微笑。その顔がとても美しくて見入ってしまう。
「さあ、そろそろ部屋に戻った方がいいですよ」
「そうですね」
 バーももうすぐ閉店する時間だ。
 椅子から立ち上がろうとしたら、足元が覚束なくて転びそうになった。
「キャッ!」
 思わず小さく声をあげる私を、涼さんがすかさず抱き留める。
「危ない! 大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。すみません」
 心臓がなんだかバクバクする。謝りながら彼の胸に手をついて自力で立とうとしたけれど、どうしても身体がふらついた。
 あれ? あれ? どうして?
「かなり飲んだみたいですね。部屋まで送ります。すみません、会計は部屋付けでお願いします」
 涼さんが店員を呼んで彼の部屋番号を伝えたので、「待ってください」と声をかけたが、彼はスルーして私を子供のように抱っこする。
「ちょ……涼さん?」
 大人になってからこんな風に抱っこされたことはない。
 ビックリして声をあげる私に、彼が平然とした顔で言う。
「歩けないでしょう? 少し我慢してください」
 少々パニックになっている私に構わず、彼はスタスタと歩いてバーを出る。
 とんでもないことになってしまった……と思いつつも、抵抗せずにそのまま彼の肩につかまっていた。
 これって現実に起こっていることなのだろうか。バーで副社長の弟さんに会って、抱っこされてるなんて……。秘書室のみんなが知ったら、きっと驚くに違いない。
 ……それにしても不思議だ。男の人は苦手なのに、涼さんだとこんなに密着しても、嫌な感じがしない。むしろ安心する。それにシトラス系のいい匂いがするし、あったかい。
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