募る想いは果てしなく
 青木さんに会える日はほぼ限られていた。
 それは平日の深夜帯。
 週末に会えることはほとんどなかった。
 思えば自宅に呼ばれたことすらない。

 4年も交際しておきながら、その淡白すぎる付き合い方は誰がどう考えてもおかしいのに。
 そんな疑問すら抱かずに過ごしていた私は間抜け以外の何者でもない。

 彼の中では基本、家族優先。
 私はただの暇潰し程度でしかなかった。
 言わなければバレないと思われていた時点で、ただの都合のいい女でしかなかったんだ。

 でも、これは私視点の話。
 奥さんの立場から見れば、青木さんのしたことは立派な浮気。私達のしたことは不倫行為。
 その事実は変わらない。
 知らなかったで済ませていい問題じゃない。
 早坂の言う通り、不倫は不倫でしかないのだから。

 もし私が奥さんの立場だったら。
 絶対に相手の女を責めるだろうし、旦那にいたっては半殺しにするかもしれない。
 不倫は美徳じゃない、誰かを傷つける行為なんだ。
 そうだ。誰も幸せになんかなれない。
 だから妻子がいると知って、自らが身を引く覚悟を決めたんだから。

 その決断に至るまで、結構な時間を有した。
 全く葛藤がなかったわけじゃない。
 百年の恋も冷めるとは言っても、4年も交際を続けてきたんだ。
 あの人への想いを簡単に断ちきれるほど、私の気持ちは軽くない。
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