募る想いは果てしなく

関係を壊したい

2



『早坂、私に何かする気なの?』

 ……そう問われた時。
 様々な葛藤が、一瞬で脳内を渦巻いた。

 馬鹿正直に頷くわけにもいかず、それでも、「するかもしれない」とか「するって言ったらどうする?」とか、この居心地のいい関係を壊しかねない一言を放ってやりたい衝動に駆られた。

 それを、寸での所で思い止まる。
 あの鈍感はきっと気付いていない。
 『でしょ?』と無邪気に返されたあの言葉に、俺が内心ショックを受けていたことなんて。



「……寝れねぇ」

 照明を落とした部屋の一角。
 ソファーに横たわったまま、溜息交じりに呟いた。

 眠れない原因なんてわかりきっている。
 もちろん寝心地の悪さでもなければ、冬の寒気に襲われているせいでもない。
 ベッドで眠っている七瀬の存在に、神経をすり減らしているせいだ。

 それはそうだろう。数歩離れた先に、好きな女が酒に酔った状態で、しかも薄着のまま無防備に寝ているんだ。落ち着かないだろう、男なら。

 しかも長く付き合っていた男と、いつの間にか別れていた。
 今はフリーだなんて一言も聞いていない。
 まさに寝耳に水の話だ。
 不謹慎だとわかっていても、舞い上がってしまう気持ちを抑えられそうにない。

 気を静めるように息を吐く。
 瞳を閉じれば、ある記憶が脳裏に浮かんだ。
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