募る想いは果てしなく
 これだけ長く交際が続いたんだ。
 七瀬と相手の男が結婚の決断をする日も近い。
 もう俺が諦めるしかないのだと、嫌でも悟ってしまった。

 ……だからこそ、2人の仲が既に破綻していたことに衝撃を受けた。

 思いがけず巡ってきたチャンス。
 なのに不安要素が大きすぎる。
 別れたい要因がまさかの不倫、しかも相手の男の方が、未練がましく七瀬に詰め寄っている状態が続いているという。

 本当は今すぐにでも、秘めた想いを打ち明けたい。
 だが迂闊に告白もできない現状だ。
 向こうの事情が事情なだけに、こちらも慎重にならざるを得ない。

 それでも。

 ――青木には未練がない。
 そう告げた七瀬の目に嘘はなくて。
 一握りだった希望が大きな希望に変わったことは、紛れもない事実だ。

「……ていうか、今なら寝顔見れるのか」

 ふと湧いた邪な感情。
 突き動かされるように身を起こし、物音を立てないようにその場から離れた。
< 21 / 48 >

この作品をシェア

pagetop