募る想いは果てしなく

男女の友情は成立するか

3



 記録的な積雪となった東京。
 けれど一晩で、はかなくも雪は溶けきった。
 澄み切った青空の下、目的地まで歩く。
 剥き出しになったアスファルトに、ブーツの音が高らかに鳴り響く。

 寒空に冷える午前9時。
 従業員用の扉を開け、店内に足を踏み入れる。
 タイムレコーダーにICカードをかざした時、華やかな談笑が遠くから聞こえてきた。

 活気の向かう先にはロッカー室。
 早番メンバーの子達だろう。
 開店準備前の雑談タイムといったところか。
 今日も皆が楽しそうで何より。

 塗装の剝がれが目立ってきたロッカー室の扉を開ければ、その場は既に人だかりが出来ていた。

「みんな早いね」
「あ、おはよう七瀬さん」
「おはよーサブマネ」

 思い思いの呼び名で挨拶をしてくれる。
 役職呼称に関しては特に統一性はない。
 人によって様々だ。

「すごい盛り上がってたね。何の話してたの?」
「七瀬さん、男女の友情って成立すると思います?」

 集団の中から、小柄な体がぴょんと飛び出す。
 真剣な眼差しで私に詰め寄るのは、ショートボブがよく似合う背丈の低い女の子。
 鈴原かなえちゃん19歳。
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