募る想いは果てしなく
「もう帰って! 2度とここに来ないで! あなたには奥さんと子供がいるでしょ!?」
「……遥はいつもそれだ。奥さんがどうとか、子供がとか。妻と子がいるから何? いたところで、今までと何も変わらないよ」
「何言って……」
「俺は遥を恋人扱いするし、遥も今まで通り俺と会えて、ここでセックスできて嬉しいでしょ?」



 ――……なにそれ。

 ショックで視界が黒く染まる。
 思考が絶望に染まっていく。
 私の存在価値を軽んじてる発言に、腸が煮え繰り返る程の憤りを感じた。

 この人が抱いている恋人の認識と、私が抱いている恋人の認識が全く違う。
 ちゃんと話し合おうなんて最初から無理だったんだ。見ている方向が全然違うんだから。

「……はっ」

 乾いた笑いが喉の奥から溢れ落ちた。

「待って、マジうける。あはは」
「……遥?」
「恋人扱いって、そんな事してくれるんですか私なんかの為に。ははっ……、ふ……ッ」

 嗚咽まで漏れる。
 悔しくて悔しくて涙が滲んだ。

 ねえ、早坂。聞いた?
 この人、奥さんがいても私を恋人扱いしてくれるらしいよ。

 笑っちゃうよね。
 恋人『扱い』って。
 私は、恋人ですらなかったよ。
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