募る想いは果てしなく
「……俺から離れるなよ」
それだけ伝えて扉を開く。
怯みそうになる心を奮い立たせ、慎重に足を踏み入れた。
廊下は驚くほどシンと静まり返っている。
ただ、人の気配は確かに感じた。
リビングの方からだ。
拭い切れない不安だけが膨れ上がっていく。
自然と歩調が速くなっていた。
歩みを止めた先には散乱した雑貨の数々。
此処で何が起きたのかを、物語っているような光景だった。
そして部屋の中心に。
ぐったりと横たわっている女性の姿が目に入る。
それが誰かなんて、一目瞭然で。
「……七瀬?」
折り畳み式のローテーブルの下。
うつ伏せの状態で、彼女は床に倒れていた。
俺達に背を向ける体勢だから表情も見えない。
呼び掛けても微動だにしない気配に焦燥感が募る。
ラグには血痕が点々と付着していた。
鈴原が言っていた程の量ではない。
けれど出血を伴うほどの怪我をしているのであれば油断はできない。
すぐにでも駆け寄りたかったが。
視界の端に映った男の姿に、俺達は足を止めた。
「は、早坂さん……あの人です」
鈴原と同時に視線を向けた先。
その男は壁を背にして、力なく座り込んでいた。
瞳はどこか虚ろなまま。
俺達がいることにも気付いていない。
俯きながらぶつぶつと呟いていて、どう見ても普通の状態には見えない。
この男が青木なのかはわからないが、七瀬に暴力を働いた犯人であることに間違いはなさそうだ。
男を警戒しつつ、ゆっくりと彼女に近づいた。
「七瀬」
片膝をついて声を掛ける。
だが何の反応もない。
彼女の肩をゆすっても、やはり応える声はない。
綺麗な髪が静かに揺れ動くだけだ。
意識を失っているなんて尋常じゃない。
とにかく彼女の状態を見なければならないと、華奢な体を慎重に傾けて――言葉を失った。
七瀬は、酷い様に成り果てていた。
それだけ伝えて扉を開く。
怯みそうになる心を奮い立たせ、慎重に足を踏み入れた。
廊下は驚くほどシンと静まり返っている。
ただ、人の気配は確かに感じた。
リビングの方からだ。
拭い切れない不安だけが膨れ上がっていく。
自然と歩調が速くなっていた。
歩みを止めた先には散乱した雑貨の数々。
此処で何が起きたのかを、物語っているような光景だった。
そして部屋の中心に。
ぐったりと横たわっている女性の姿が目に入る。
それが誰かなんて、一目瞭然で。
「……七瀬?」
折り畳み式のローテーブルの下。
うつ伏せの状態で、彼女は床に倒れていた。
俺達に背を向ける体勢だから表情も見えない。
呼び掛けても微動だにしない気配に焦燥感が募る。
ラグには血痕が点々と付着していた。
鈴原が言っていた程の量ではない。
けれど出血を伴うほどの怪我をしているのであれば油断はできない。
すぐにでも駆け寄りたかったが。
視界の端に映った男の姿に、俺達は足を止めた。
「は、早坂さん……あの人です」
鈴原と同時に視線を向けた先。
その男は壁を背にして、力なく座り込んでいた。
瞳はどこか虚ろなまま。
俺達がいることにも気付いていない。
俯きながらぶつぶつと呟いていて、どう見ても普通の状態には見えない。
この男が青木なのかはわからないが、七瀬に暴力を働いた犯人であることに間違いはなさそうだ。
男を警戒しつつ、ゆっくりと彼女に近づいた。
「七瀬」
片膝をついて声を掛ける。
だが何の反応もない。
彼女の肩をゆすっても、やはり応える声はない。
綺麗な髪が静かに揺れ動くだけだ。
意識を失っているなんて尋常じゃない。
とにかく彼女の状態を見なければならないと、華奢な体を慎重に傾けて――言葉を失った。
七瀬は、酷い様に成り果てていた。