募る想いは果てしなく
 ――俺は部外者だから。
 なんて、言ってる場合じゃなかったんだ。
 無理やりでも話し合いに介入すればよかった。
 そうすれば、青木の暴走を止められたんじゃないか。七瀬を守ってあげられたんじゃないか。
 そんな後悔を抱く。

 これは俺だけじゃない。
 七瀬自身にも問題はある。
 それを本人が自覚していれば、こんな事態になることは想定できたし、避けられた被害のはずだ。



 七瀬は、人から頼られることに慣れ過ぎている。
 故に、人に頼ることをしない。
 弱音を吐くことで苦痛を和らげる手段を選ばない。
 極度の甘え下手だ。

 青木に別れを告げてから半年が経ち、いまだに彼女を甘やかしてくれる男の存在は現れていない。
 誰にも見せることがない弱さや葛藤を、ひとりで抱え込んでいるような状態だ。
 もう、躊躇してる場合じゃない。



 七瀬に想いを伝えよう。
 今日は無理だろうけど、明日。
 この状況が落ち着いたら、すぐにでも。

 きっと困らせるだろう。
 それでも伝えないといけない。
 七瀬をずっと想っている奴がいること。
 頼ってもいい存在が側にいること。
 ひとりで抱え込む必要なんてないのだと気付いてほしい。

 下手くそな笑みを浮かべる七瀬を見て、そう思わずにはいられなかった。
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