募る想いは果てしなく
◇ ◇ ◇



 結局、1週間の休職を貰えることになった。
 私が診察室にいる間、早坂が菅原エリアに連絡をして頼み込んでくれたお陰だった。

 たとえ作業が出来たとしても、無理をし過ぎて完治が長引くようなことになったら目もあてられない。
 けれど、シフトを長期間抜けるわけにもいかない。
 様々な事情を考慮した結果、菅原さんは1週間の猶予をくれた。

 たった1週間で骨折は完治しないけど、休養できる期間があるだけでもありがたい。そのぶん早坂も安心して、仕事に集中できるだろうから。

 ……本音を言えば、出勤したかったけど。
 仕事に没頭していれば、余計な事を考えずに済む。
 でもそんな無責任なこと、言えるはずもない。

「2週間分の痛み止めの錠剤と、患部に貼る湿布を処方しておくね。明日は頭の検査と怪我の状態を診ますので、もう一度来てください」
「はい」
「……それと」

 一通り話を終えた後。
 医師の先生は意味深に言葉を切った。
 ぎこちない笑顔が私に向けられる。

「……もし傷害罪として警察に訴える場合、警察提出用診断書を作成しますので。その時は仰ってください」

 警察、という単語に顔が強張る。
 無意識に、痛々しく残る痣を手で隠していた。
 無理だけはしないでくださいね、何度も掛けられる優しい心遣いが胸に染み渡る。
 すみません、と深く頭を下げて診察室を後にした。
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