募る想いは果てしなく
「……七瀬さん。早坂さんのこと、どう思ってますか?」
「……え、早坂?」
「はい」

 あまりにも急な問いだった。
 困ったように私は眉を下げる。
 どうして早坂の話に変わったのか、かなえちゃんが何を伝えようとしているのかがわからなくて。

 探るような視線を向ければ。
 画面を滑らせていた彼女の指が止まった。

「男女の友情は成り立つって、昨日言ってましたよね」
「……言ったけど。それがどうしたの?」
「そう思ってるのは、きっと七瀬さんだけですよ」
「……それどういう意味、」



『……仕方ないだろ。七瀬が自分達で話し合うって決めたんだから』


「……ん?」

 不意に聞こえてきた早坂の声。
 けれど当然、この場に彼の姿はない。
 声の発信元は彼女が持つスマホからだ。

 その後もかなえちゃんの声が続き、2人が仲良く談笑している様子が聞こえてくる。
 困惑したままスマホを見つめる私の様子を、かなえちゃんは静かに見守っていた。まるで私の反応を探っているかのように。

「……なにそれ?」
「これ、昨日の車内での会話です。七瀬さんがマンションに帰った後、早坂さんと喋ってたんですけど。こっそり録ってたんです」
「……なんで?」

 素朴な疑問だった。
 そんなものを録ってどうするつもりなのか。
 早坂の弱味でも握るつもりなら理解できるけど、かなえちゃんがそんな事をするとは思えない。
 けれど、こっそり録っていたということは、早坂自身も盗聴されていた事を知らないのだろう。

 盗聴してまで私に聞いてほしい内容。
 それが何なのかを尋ねようとした時、流れてきた会話の内容に、私は言葉を失った。
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