深瀬くんが甘すぎる
流石に緊張したし、嘘をついたことの罪悪感も相まって冷や汗が流れる。
「それじゃあ店の中を案内しても?良かったら似合いそうな着物を選ばせてよ」
「あ、うん」
するっと自然な動作で手を取られ、深瀬くんに手を引かれながらゆっくりと店内を移動する。
「ひまりは小柄だし、髪も光の加減によっては焦茶っぽく見えるから桃色とかも似合うな」
「それに普段は大人っぽい感じがするけど、その分笑った時の顔が可愛くてあどけないから。こういう可愛い系のもきっと似合うよ、というか俺がひまりに着て欲しい」
深瀬くんは棚からいくつか着物を取りだして、鏡の前で私に合わせて見せた。
てっきり紺色みたいな寒色系が似合うと言われると思っていたから、本当の自分の好みな赤色や桃色の着物を推してくれたことに驚く。