深瀬くんが甘すぎる
お世辞、これは私が今彼女だっていう体だから言ってくれてるだけのお世辞に決まってる。
そんなこと分かりきっているのに、あまりに深瀬くんの瞳が真剣で優しいから。
「…勘違い、しそうになる……」
ぽそっとこぼれた本音に慌てて口元を押さえる。
もしかして聞こえた?と思って深瀬くんに視線を向けると、彼は驚いた顔をしてぱちぱちと目を瞬いている。
「してくれていいのに」
上から小さく降ってきた言葉に、とくんと胸が高鳴った。
その返しは、ずるいよ。
今日の深瀬くんは、あまりにも甘すぎて心臓に悪い。
赤くなる顔を隠そうと視線を下げる。
今日はもう、深瀬くんの顔を見れそうにない。