深瀬くんが甘すぎる
結局その後お母さんとお姉ちゃんから声がかかって、なんとかことなきを得て家に帰ったけど。
自室にこもってからも、一晩中深瀬くんのことばかり考える羽目になった。
おかげで今日は寝不足だ。

それでもいつも通り大半の生徒より早い時間の電車に乗って学校に向かう。
教室に足を踏み入れると、いつも通りそこには深瀬くんがいた。違うのは、いつもスマホの画面に向けられているその目がこっちを向いていることだ。

「ねぇ、昨日の本気…?」
「本気」

真っ直ぐに視線を向けて、深瀬くんは間髪入れずにそうはっきりと言い放った。
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