神に選ばれなかった者達 後編
その為には、こいつの正体なんて、むしろ知らない方が良いだろうな。
下手に余計なことを知っちゃって、余計な感情を抱いてしまったら、もう殺せないから。
あんたさん達だって、自分が今夜食べるトンカツの為に殺された豚が、何処で育てられて、どんな人生(豚生?)を送って、どんな風に屠殺されたか、なんて。
そんなこと知りたくないだろ?
知っちゃったら、もうトンカツなんて二度と食べられねぇよ。
世の中には、知らない方が良いこともある。
むしろ、知らない方が幸せなことだらけだ。
「何か叩き割れるもの、ないかな…?」
萌音ちゃん、周囲をきょろきょろ。
残念ながら、ここには武器になりそうなものは何もない。
だだっ広い部屋の中に、このカプセルが一つあるだけだ。
「…手榴弾で爆破する?」
と、提案するみらくちゃん。
「でも、手榴弾だと確実に殺害出来る保証はない。確実に殺す為には、まずこのカプセルを先に壊すべきだろう」
響也君がそう言い、自らの武器…錐を握り締めた。
それで叩き壊すつもりか?
「僕がやるよ」
自らそう申し出たのは、いそら君だった。
成程。鉄パイプで殴り壊す算段か。
いそら君は、鉄パイプを手に前に出た。
「やるのは良いが、なるべくこの液体には触れないよう注意してくれ」
「何?」
「人間には有害の液体である可能性がある」
と、忠告する李優君。
…確かに。
よく理科室に置いてあるホルマリン漬けも、素手で触るとヒリヒリするんだっけ?
まぁ、この液体がホルマリンとは限らない訳だけど。
その辺全然詳しくないから。識者求む。
「そうか…。じゃあのぞみ、お兄ちゃんから離れてて」
いや、あんたさんが気をつけろってことたよ。
妹ちゃんを逃がすのも大切だけど。自分も怪我しないよう気をつけてくれよ。
「お兄ちゃんこそ、怪我しないでね」
そうそう。もっと言ってやってくれのぞみちゃん。
「くれぐれも気を付けて。ここまで来て、お兄ちゃんだけ死ぬなんて嫌だよ…」
「大丈夫。心配しないで」
いそら君はのぞみちゃんに微笑んで、鉄パイプを構え。
そして、思いっきりカプセルを殴りつけた…。
…の、だが。
カプセルが割れ、中の液体が飛び散るかと思いきや。
ガラスのカプセルを、バキッ、と音を立てて殴っただけで。
カプセルには、ヒビ一つ入っていなかった。
…おい。嘘だろ。
「…っ…」
二度、三度と鉄パイプを振り下ろすも、やはりカプセルは壊れない。
何これ。頑丈にも程がある。
それどころか、鉄パイプの方が参ってしまい。
五度目に振り下ろした拍子に、鉄パイプの先っちょがバキッ、と壊れて、折れてしまった。
下手に余計なことを知っちゃって、余計な感情を抱いてしまったら、もう殺せないから。
あんたさん達だって、自分が今夜食べるトンカツの為に殺された豚が、何処で育てられて、どんな人生(豚生?)を送って、どんな風に屠殺されたか、なんて。
そんなこと知りたくないだろ?
知っちゃったら、もうトンカツなんて二度と食べられねぇよ。
世の中には、知らない方が良いこともある。
むしろ、知らない方が幸せなことだらけだ。
「何か叩き割れるもの、ないかな…?」
萌音ちゃん、周囲をきょろきょろ。
残念ながら、ここには武器になりそうなものは何もない。
だだっ広い部屋の中に、このカプセルが一つあるだけだ。
「…手榴弾で爆破する?」
と、提案するみらくちゃん。
「でも、手榴弾だと確実に殺害出来る保証はない。確実に殺す為には、まずこのカプセルを先に壊すべきだろう」
響也君がそう言い、自らの武器…錐を握り締めた。
それで叩き壊すつもりか?
「僕がやるよ」
自らそう申し出たのは、いそら君だった。
成程。鉄パイプで殴り壊す算段か。
いそら君は、鉄パイプを手に前に出た。
「やるのは良いが、なるべくこの液体には触れないよう注意してくれ」
「何?」
「人間には有害の液体である可能性がある」
と、忠告する李優君。
…確かに。
よく理科室に置いてあるホルマリン漬けも、素手で触るとヒリヒリするんだっけ?
まぁ、この液体がホルマリンとは限らない訳だけど。
その辺全然詳しくないから。識者求む。
「そうか…。じゃあのぞみ、お兄ちゃんから離れてて」
いや、あんたさんが気をつけろってことたよ。
妹ちゃんを逃がすのも大切だけど。自分も怪我しないよう気をつけてくれよ。
「お兄ちゃんこそ、怪我しないでね」
そうそう。もっと言ってやってくれのぞみちゃん。
「くれぐれも気を付けて。ここまで来て、お兄ちゃんだけ死ぬなんて嫌だよ…」
「大丈夫。心配しないで」
いそら君はのぞみちゃんに微笑んで、鉄パイプを構え。
そして、思いっきりカプセルを殴りつけた…。
…の、だが。
カプセルが割れ、中の液体が飛び散るかと思いきや。
ガラスのカプセルを、バキッ、と音を立てて殴っただけで。
カプセルには、ヒビ一つ入っていなかった。
…おい。嘘だろ。
「…っ…」
二度、三度と鉄パイプを振り下ろすも、やはりカプセルは壊れない。
何これ。頑丈にも程がある。
それどころか、鉄パイプの方が参ってしまい。
五度目に振り下ろした拍子に、鉄パイプの先っちょがバキッ、と壊れて、折れてしまった。