キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
「私ね、本当はすごく弱いの」
「知ってる」
「本当は……いろんなことに挫けそうなの」
「それも知ってるよ」
「本当はね。歌を歌って何かを失っていく度、もういつ死んでもいいやって思ってた」
「うん……」
「でも本当の本当は……私まだみんなと、一緒にいたい……! 死ぬのはすごく怖いよ」
「小夏!!」
諏訪野さんは私を今までで一番強く抱きしめてくれて、私は声が枯れるほど大きな声で泣いた。
諏訪野さんの前でだけは、心の奥底からの思いを吐き出すことができた。
ひとしきり泣いたあとは、諏訪野さんにあんまり泣くと発作が出るとたしなめられた。
少し休もうとベンチに座らせられると、ペットボトルに入った水を渡され飲むように言われた。
「ちょっと指を借りる」
「諏訪野さん、どこでもそれ持ってるの?」
「最近はね。理由は言うまでもないよね」
諏訪野さんに酸素濃度を測る機械を指に付けられたまま、私はぼーっとしていた。
「軽く発作が出てそうだし聴診もしたいけど、外だし止めといてあげる。でも少し数値が悪いな。吸入だけしよう」
私が何かを言う前に諏訪野さんはもうポケットから吸入器を取り出して口に当てた。
吸わないと何も言えないので、大人しく言うことを聞いた。
「私っていつも諏訪野さんの言うことを聞いてばかりだなぁ」
「でも楽になったでしょ」
「ありがとうございます」
「気に食わないって顔に書いてある。じゃあ今度は僕が何か小夏の言うことを聞けばいいのか?」
「え!? それって何でもいいの」
何でもいいって限度があるけど、と言いながら諏訪野さんは私から目を背けて笑った。
諏訪野さんが諏訪野さんで居てくれるだけでもう十分、なんて言えるわけないよね。
「じゃあ……諏訪野さんのことをこれからは晴さんって呼んでもいい?」
「……うん、いいよ」
「あ、今すこし照れたでしょ」
「別にそんなんじゃない。諏訪野さんから晴さんって5文字から4文字になっただけだし、呼びにくそうだなって」
「じゃあ……晴?」
すると、晴さんはかなり勢いよく私から目を逸らし反対側を向いた。
照れくさそうに口元を手で抑えている。
「いや、それはまだ少し恥ずかしいな。普通でいられる自信が無い」
「なにそれ、晴さんってほんとにおかしい!」
私は思い切り笑った。いつももっとかっこつけていて、真剣な言葉ばかりくれる晴さんがこれくらいのことで動揺するんだもん。
不思議で、面白くて、すごく気持ちが軽くなった。
「ねえ、これからもよろしくね、晴さん」
「はいはい、よろしく小夏」
その後、晴さんは私のことを家まで送ってくれた。
どちらかから言うでもなく、手を繋ぎながら2人で歩いた。
「知ってる」
「本当は……いろんなことに挫けそうなの」
「それも知ってるよ」
「本当はね。歌を歌って何かを失っていく度、もういつ死んでもいいやって思ってた」
「うん……」
「でも本当の本当は……私まだみんなと、一緒にいたい……! 死ぬのはすごく怖いよ」
「小夏!!」
諏訪野さんは私を今までで一番強く抱きしめてくれて、私は声が枯れるほど大きな声で泣いた。
諏訪野さんの前でだけは、心の奥底からの思いを吐き出すことができた。
ひとしきり泣いたあとは、諏訪野さんにあんまり泣くと発作が出るとたしなめられた。
少し休もうとベンチに座らせられると、ペットボトルに入った水を渡され飲むように言われた。
「ちょっと指を借りる」
「諏訪野さん、どこでもそれ持ってるの?」
「最近はね。理由は言うまでもないよね」
諏訪野さんに酸素濃度を測る機械を指に付けられたまま、私はぼーっとしていた。
「軽く発作が出てそうだし聴診もしたいけど、外だし止めといてあげる。でも少し数値が悪いな。吸入だけしよう」
私が何かを言う前に諏訪野さんはもうポケットから吸入器を取り出して口に当てた。
吸わないと何も言えないので、大人しく言うことを聞いた。
「私っていつも諏訪野さんの言うことを聞いてばかりだなぁ」
「でも楽になったでしょ」
「ありがとうございます」
「気に食わないって顔に書いてある。じゃあ今度は僕が何か小夏の言うことを聞けばいいのか?」
「え!? それって何でもいいの」
何でもいいって限度があるけど、と言いながら諏訪野さんは私から目を背けて笑った。
諏訪野さんが諏訪野さんで居てくれるだけでもう十分、なんて言えるわけないよね。
「じゃあ……諏訪野さんのことをこれからは晴さんって呼んでもいい?」
「……うん、いいよ」
「あ、今すこし照れたでしょ」
「別にそんなんじゃない。諏訪野さんから晴さんって5文字から4文字になっただけだし、呼びにくそうだなって」
「じゃあ……晴?」
すると、晴さんはかなり勢いよく私から目を逸らし反対側を向いた。
照れくさそうに口元を手で抑えている。
「いや、それはまだ少し恥ずかしいな。普通でいられる自信が無い」
「なにそれ、晴さんってほんとにおかしい!」
私は思い切り笑った。いつももっとかっこつけていて、真剣な言葉ばかりくれる晴さんがこれくらいのことで動揺するんだもん。
不思議で、面白くて、すごく気持ちが軽くなった。
「ねえ、これからもよろしくね、晴さん」
「はいはい、よろしく小夏」
その後、晴さんは私のことを家まで送ってくれた。
どちらかから言うでもなく、手を繋ぎながら2人で歩いた。