キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
「晴さん、ただいま」
「おかえり。話は無事まとまった?」
「うん! でもほとんど小春のおかげ」
「そんなことないよ。資料集めはお姉ちゃんに任せちゃったし」
そろそろ行こうか、と晴さんに促され車に乗った。
途中、美味しいお蕎麦屋さんに寄ってみんなでご飯を食べた。
そしてついに晴さんの実家へ向かうことになる。
車に乗る前に落ち着かなくてソワソワしていると、晴さんにポンと背中を叩かれた。
「ここからあと30分くらいかな」
「諏訪野先生のご実家はやっぱりみんなお医者さんなんですか?」
さすがすみちゃん、気になってたナイス質問!
「うんうん。僕だけ。両親は市役所に勤める公務員で、引退してからは畑をいじりながらゆったり暮らしてるよ」
「晴さん、妹さんは?」
「妹は……今いないかな。兄ちゃんはいるかも」
「お兄さん!?」
「和臣(かずおみ)っていう名前で、僕の5つ上だよ。実家から少し離れた所で奥さんと暮らしながら両親と同じ公務員してる」
「諏訪野先生のお家は3人もご兄妹がいたんですね」
「皆が小春さんみたいに、有能じゃないけどね」
小春は笑いながら首を横に振る。
「お姉ちゃんは諏訪野先生に出会えて、変わりました。とてもいい方向に。私には悔しいけれど出来なかったことです」
「いいや、小夏のパワーの源泉はやっぱり小春さんだと思うよ」
「褒め合ってるね」
「いい感じだよね~」
4人で笑いながら話していると晴さんの実家に到着した。
なるほど、本当にのどかな場所で、まず隣の家がどこだか分からないくらいには離れていた。
果てなく続く草原を眺めていたら、ふいにあの人の事を思い出した。
ーー『小春、小夏。おいで』
『なぁにーー!!』
『僕はね、しばらくここに残ろうと思うんだ』
『え〜、一緒に帰ろうよ』
『少しの間お別れ。また会えるさ』
『お仕事なの?』
『そう、仕事だよ。僕がまだ僕でいられる場所をみつけるための』
『ふぅん、よくわかんない』
『ここがいい。ここでいいんだ。ほら二人とも、上を見てご覧。手に届きそうなくらい星がよく見える』
『うんキレイだね!』
そう話した数週間後、その人はこの世界から居なくなった。
小春はまだその時小さくてよく分かってなかったんだと思う。ただ無邪気に笑ってた。
でも私は知っていた。この人がとても傷ついていることも、慰めを欲しがっていることも。
分かっていて何も出来なかったんだ。
「おかえり。話は無事まとまった?」
「うん! でもほとんど小春のおかげ」
「そんなことないよ。資料集めはお姉ちゃんに任せちゃったし」
そろそろ行こうか、と晴さんに促され車に乗った。
途中、美味しいお蕎麦屋さんに寄ってみんなでご飯を食べた。
そしてついに晴さんの実家へ向かうことになる。
車に乗る前に落ち着かなくてソワソワしていると、晴さんにポンと背中を叩かれた。
「ここからあと30分くらいかな」
「諏訪野先生のご実家はやっぱりみんなお医者さんなんですか?」
さすがすみちゃん、気になってたナイス質問!
「うんうん。僕だけ。両親は市役所に勤める公務員で、引退してからは畑をいじりながらゆったり暮らしてるよ」
「晴さん、妹さんは?」
「妹は……今いないかな。兄ちゃんはいるかも」
「お兄さん!?」
「和臣(かずおみ)っていう名前で、僕の5つ上だよ。実家から少し離れた所で奥さんと暮らしながら両親と同じ公務員してる」
「諏訪野先生のお家は3人もご兄妹がいたんですね」
「皆が小春さんみたいに、有能じゃないけどね」
小春は笑いながら首を横に振る。
「お姉ちゃんは諏訪野先生に出会えて、変わりました。とてもいい方向に。私には悔しいけれど出来なかったことです」
「いいや、小夏のパワーの源泉はやっぱり小春さんだと思うよ」
「褒め合ってるね」
「いい感じだよね~」
4人で笑いながら話していると晴さんの実家に到着した。
なるほど、本当にのどかな場所で、まず隣の家がどこだか分からないくらいには離れていた。
果てなく続く草原を眺めていたら、ふいにあの人の事を思い出した。
ーー『小春、小夏。おいで』
『なぁにーー!!』
『僕はね、しばらくここに残ろうと思うんだ』
『え〜、一緒に帰ろうよ』
『少しの間お別れ。また会えるさ』
『お仕事なの?』
『そう、仕事だよ。僕がまだ僕でいられる場所をみつけるための』
『ふぅん、よくわかんない』
『ここがいい。ここでいいんだ。ほら二人とも、上を見てご覧。手に届きそうなくらい星がよく見える』
『うんキレイだね!』
そう話した数週間後、その人はこの世界から居なくなった。
小春はまだその時小さくてよく分かってなかったんだと思う。ただ無邪気に笑ってた。
でも私は知っていた。この人がとても傷ついていることも、慰めを欲しがっていることも。
分かっていて何も出来なかったんだ。