キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
リビングだと思われる大きな部屋にたどり着くと、晴さんとお母さんが夕飯について相談しているようだった。
私が来たのを見つけると、すぐ晴さんは気付いてくれた。

「あ、小夏。どうかした?」
「うん。ちょっと……」

いや待て待て。考え無しに来たけど、晴さんの部屋に行きたいと言うことも、ましてや小さい頃の写真が見たいとかいきなり過ぎてどう伝えればいいんだ~!! 後先考えないで来てしまった。

「何か話があるのかな? 僕の部屋へ行こう」

何かを察してくれたのか、直ぐに晴さんは私を導いてくれた。
中に入ると、そこは学習机とベッド、本棚がある。
まるで学生時代の晴さんがまだそこにいるようなお部屋だった。

「お母さんとのお話は途中じゃなかった?」
「うん、大丈夫。どうした? 体調悪い?」
「ううん」
「だとしても、今日は結構動いただろう? せっかく今の静かなうちに一通り診させて」
「うん」
「じゃあベットの上。少し横になって」

言う通りに横になる。晴さんのベッド、ドキドキする。
それを私は何とか顔に出さないように、上着を着ていたのでボタンを外し、上だけ下着姿になる。
晴さんは聴診器を取り出して、いつものように時間をかけてじっくりと音を聞いていた。
酸素飽和度を測り、脈をとる間、私はずっと黙っていた。

「今のところは大丈夫。でも今夜辺りは少し息苦しくなるかも。無理はしない」
「はい」
「何かあればいつでも近くの病院に行けるように手配してるから。この辺は田舎だからね、みんな顔見知りなんだよ」
「なんかいいね。みんなが知り合いかぁ。東京だとそういうのないから」
「それはそれで大変なこともあるんだよ。まぁいいや。それでどうしたの、僕の所に来た理由」
「ちょっと気になったことがあってきた」

んー? と聞きながら、晴さんは私の隣に座った。私も上着を着直しながら起き上がる。
晴さんがそっと背中を支えてくれる。

写真のことも勿論気になるけど、その前に私は一番気になってたことを聞いてみることにした。
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