キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
そのまま夕飯時になると、晴さんのお兄さんの和臣さんとその奥さんがいらっしゃって、みんなで賑やかにご飯を囲んだ。
和臣さんは陽気な性格で、みんなを終始笑わせてくれた。

「晴は俺の舎弟みたいなやつでいつも俺の真似ばっかりしてたな」
「そんなことない」
「逆上がりも二重跳びも俺の真似したいのに出来なくて泣きべそかいてた」
「覚えてない」
「いや、そうだったわよ。晴は泣くと機嫌とるの大変なんだから」
「母さんは黙ってて」
「ふふ、諏訪野さんってお兄ちゃんっ子なんですね」
「小春さんにだけは言われたくないかな」
「なに~」

晴さんのお父さんはそんなみんなの話を穏やかに聞いていた。
私は色んな気持ちが積み重なってしまって、ご飯を余り食べられなかったけど、誰も何も指摘してこなくて助かった。

お風呂は近くに有名な温泉があるからと、お母さん達が車を出してくれて連れていってくれた。

そうして夜が明けると、あっという間に帰る日になった。
晴さんに言われた通り夜中、一度息苦しくなったけど、吸入したら落ち着いたのでそのまま眠った。
朝ごはんも皆と食べて、いざ帰ろうと部屋で荷物をまとめていると、すみちゃんに話しかけられた。

「小夏、昨日は諏訪野さんとよく話せた?」
「お陰様で。すみちゃん色々ありがとうね」
「ううん。良かった。昨日聞いたんだけど、諏訪野さん明日の3日まで夏休み取ってるらしいよ。だからせっかくだし2人だけでもう1日過ごしたら」
「え?!」
「長閑なとこだし〜? 体にも良さそうだし~~。せっかくだしゆっくりしなよ。小春とうちはもうすぐ迎えに来るうちの車で先に帰ってるから」

確かに昨日、晴さんは私に会わせたい人がいると言った。
それはきっととても大切な人だと思うから。

「分かった。晴さんにお願いしてみる」
「うん。それにうちは麦の顔も見たいし早く帰る! そろそろ禁断症状出ちゃう」
「ハハ、確かに寂しいよね」
「諏訪野さんなら小夏のことを任せられると思ったから。ちゃんと話せてよかった」
「すみちゃんもここまで来てくれてありがとう」

色々応援してるからね、とすみちゃんは意味ありげに言い放つと、小春の元へ話に行った。
その間に私はまた晴さんの部屋行ってみることにした。
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