キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
桜がとても綺麗な日で、陽菜が亡くなってちょうど2年が過ぎた頃だった。僕は代々木公園のあの桜の下にいた。
するときれいな歌声が聞こえてきた。誰かが花見をしながら音楽を流していたのかな?
そう、晴さんは言った。
「家に帰って調べたら、それはbihukaという歌手だと知った。顔も知らない。何歳でどんな人なのかも何も分からない。でもその曲は僕の心にすごく響いた」
「嬉しいな」
「うん。僕は陽菜を失ったあとの世界で、はじめて『好きだ』という気持ちを取り戻せたんだよ。それからは何度もbihukaの歌を聴いて、bihukaが新曲を出す度にもっと好きになった。世界の輪郭が優しくなって、失った色が戻ってきたみたいな毎日だった」
「私、歌い続けてきてよかった」
「そうだよ。だから初めて会った頃にはきっとまだ迷いがあった君に『自信を持て』って僕は伝えた。僕みたいな人間がきっと他にもたくさんいると知っていたから。そしてあの日、あの公園のベンチで君と出会ってあの歌を聞いたときから、僕の中で止まっていた時間がはっきりと動き出したんだ」
私は頷く。晴さんは笑って、もう一度、陽菜さんのお墓の前で手を合わせて言った。
「陽菜、僕は今日も医者でいるよ。これからもできるだけたくさんの人を救うよ。約束はちゃんと守るから。だから陽菜、もう何も心配しないで……だけどごめんね。僕は陽菜が居なくても、生きて前に進むよ。今日はそれを証明しに来た」
「陽菜さんはちゃんと解ってるよ」
「ありがとう。でも僕は小夏にも知っていて欲しい。僕は陽菜の代わりに、君を必要とした訳じゃないんだ。君の存在が僕に好きだという気持ちを取り戻させてくれたんだ。この誰よりも弱くて強くて特別な女の子を僕の手で守りたいって思った。生きる意味を思い出させてくれたんだ」
「晴さん……」
「ねぇ小夏。本当はあの時ちゃんと聞こえてたよーー花火の時に僕へ伝えてくれた言葉」
「そっかぁ……ありがとう。私の気持ち、いつも見つけてくれて」
晴さんは最後に黙って陽菜さんのお墓の前で手を合わせた。
そして、名残惜しさを振り切るようにして、私の顔を真剣に見つめてきた。
次に続く言葉がなんなのか、私にはもう分かっていた。
するときれいな歌声が聞こえてきた。誰かが花見をしながら音楽を流していたのかな?
そう、晴さんは言った。
「家に帰って調べたら、それはbihukaという歌手だと知った。顔も知らない。何歳でどんな人なのかも何も分からない。でもその曲は僕の心にすごく響いた」
「嬉しいな」
「うん。僕は陽菜を失ったあとの世界で、はじめて『好きだ』という気持ちを取り戻せたんだよ。それからは何度もbihukaの歌を聴いて、bihukaが新曲を出す度にもっと好きになった。世界の輪郭が優しくなって、失った色が戻ってきたみたいな毎日だった」
「私、歌い続けてきてよかった」
「そうだよ。だから初めて会った頃にはきっとまだ迷いがあった君に『自信を持て』って僕は伝えた。僕みたいな人間がきっと他にもたくさんいると知っていたから。そしてあの日、あの公園のベンチで君と出会ってあの歌を聞いたときから、僕の中で止まっていた時間がはっきりと動き出したんだ」
私は頷く。晴さんは笑って、もう一度、陽菜さんのお墓の前で手を合わせて言った。
「陽菜、僕は今日も医者でいるよ。これからもできるだけたくさんの人を救うよ。約束はちゃんと守るから。だから陽菜、もう何も心配しないで……だけどごめんね。僕は陽菜が居なくても、生きて前に進むよ。今日はそれを証明しに来た」
「陽菜さんはちゃんと解ってるよ」
「ありがとう。でも僕は小夏にも知っていて欲しい。僕は陽菜の代わりに、君を必要とした訳じゃないんだ。君の存在が僕に好きだという気持ちを取り戻させてくれたんだ。この誰よりも弱くて強くて特別な女の子を僕の手で守りたいって思った。生きる意味を思い出させてくれたんだ」
「晴さん……」
「ねぇ小夏。本当はあの時ちゃんと聞こえてたよーー花火の時に僕へ伝えてくれた言葉」
「そっかぁ……ありがとう。私の気持ち、いつも見つけてくれて」
晴さんは最後に黙って陽菜さんのお墓の前で手を合わせた。
そして、名残惜しさを振り切るようにして、私の顔を真剣に見つめてきた。
次に続く言葉がなんなのか、私にはもう分かっていた。