『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
「お腹空いてたみたい」

 しばらくして戻ってきた真理愛は赤ちゃんを抱いていなかった。

「赤ちゃんは大丈夫?」

「うん、また眠っちゃった。オッパイ吸いながらトロンとした目になったと思ったら、す~っと寝ちゃったの。可愛かったわよ」

「へ~、見たかったなぁ。赤ちゃんのトロンとした目もそうだけど、小椅子の聖母のような優しい目で見つめているあなたの顔も見たかったわ」

「ふふふ。聖母のような目になっていたかしら」

「なっていたと思うわよ。だって、名前が〈まりあ〉だからね」

 二人は幸せそうな顔で笑い合った。
 
「でも、あの子が大きくなった時、日本がこのままだと心配なのよ」

 真理愛は打って変わって眉を寄せて、しかめっ面になった。
 
「さっきの話?」

「そう、男尊女卑の日本に生まれたのが良かったのかどうか……」

 彼女は立ち上がって書棚から1冊のファイルを持ってきた。

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