繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 原理はわからないが、誰かの命と苦痛を犠牲にして時間を巻き戻すという魔法から来る現象だからだ。

(記憶って花言葉だから言い辛そうだったのかしら? それとも、もっと他に何か隠してるのかしら……)
 
 触れた手がかさついて荒れていたことも、そしてその手が大好きだったことも。
 手の感触を覚えているのだ、きっと触れたこともあったはず。
 貴族令嬢とただの庭師が手を握る状況は何だったのだろう。
 その答えはわからないけれど。
 
「この花、テオドルお義兄様が?」
「どうしてそう思うんだ?」
「それは」

 どうしてだろうか。
 今の彼の手は水や土の仕事でもう荒れてはいないし、庭師だって他の使用人を雇っている。
 それなのに、この少し外れた場所にある小さな花壇だけは、今もテオドルが大切に育てているような気がしたのだ。

(騎士の時も、執事の時も育ててたのかしら)

 彼にとってこの花は、どんな意味がある花なのだろう。
 今回こそ、その答えを知れるのだろうか。

「そうだったらいいな、って思っただけ」
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