傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
「今からどこに行くんだ?飯?」
「はい、そこのレストランに……」
「誰かと一緒?」
「いえ……その、一人です……」

 口にすると急に忘れていた虚しさに襲われた。
 また、レストランでもぼっち女だと好奇な目に晒されるんだろうか。心の中でゲンナリしていると、不意に手首を掴まれた。
 突然のことに凪は目を丸くする。

「よかった。俺も一人だから一緒に食おう、凪」

 そう言って彼は凪の手を引いて歩き出す。
 一緒にご飯?どうしてそんな展開に?いや、それよりも……

「どうして私の名前……」
「救護室のナースに聞いたんだ。大場凪だろ?」

 確かに念のためと言われて、名前と宿泊する部屋番号を訊ねられていた。とはいえいきなり呼び捨てとは……。

「俺は美坂漣(みさかれん)。漣って呼んで」
「いや、でも……」
 
 戸惑いながらも、凪は彼の手を振り解けないでいた。決して嫌ではなかったから。
 彼の後ろを歩く今、顔が熱くて仕方がない。
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