傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
 大学のライフセービング部の部員などがアルバイトとして従事していることは知っていたが、漣のような社会人のライフセーバーはそれを生業にしているのだと思っていた。
 目を丸くして驚く凪に彼は、ライフセーバーをしているのは土日だけだと教えてくれる。
 なんでも日本では、本業のライフガードはほとんどいないらしい。そんな裏事情を聞きながら、凪はあれ?と首を傾げた。

「じゃあ、漣って普段は何してる人なの?水泳のコーチとか?」
「普通に丸の内でサラリーマンやってるよ」

 可笑しそうに鼻を鳴らして、漣はオードブルの次に運ばれてきた真鯛のポワレを優雅な手つきで切り分けて口に運んだ。
 
 食事が始まってからずっと思っていたことだけれど、漣はフォークとナイフをとても綺麗に扱う。所作の一つ一つが洗練されていて、普通のサラリーマンとはとても思えない。

 育ちがいいんだろうか?それか毎週末、誰かとこんな風に食事を共にしているとか……。そんな想像が頭をよぎって、チクリと針を刺されてかのように凪の胸が痛んだ。
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