過去夢の少女
「つまり、その先生はお母さんにとってそこまで信用できる人じゃなかったってこと?」
「たぶんね。単純にそこに居合わせただけで、担任でもなんでもなかったのかも」

それなら重要な相談ができる相手だとは思えない。
だからお母さんはあそこで逃げ出してしまったんだ。
「それより、夢の内容なんだけどヒドイね」

「あ、うん。お母さんがイジメられてるって知ってる生徒も沢山いたみたいだけど、誰も手を差し伸べてなかった」

それどころか、ボヤけた顔たちはみんな笑顔を浮かべていた。
それを思い出すと胸がムカムカして仕方がない。

「これさ、やっぱりほっとけないよ。どうにかしなきゃいけないと思う」

「どうにかって……。でも私の夢は過去の出来事を見るから、今からじゃどうしようもないよ?」

「そんなことないよ! だってこのいじめっ子の娘が私たちと同じクラスにいるんだよ? これってチャンスだよ」

「チャンス?」
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