過去夢の少女
私と河村結夏が同じクラスになったことでこの夢を見ているということは明白だけれど、それがどうチャンスにつながるのかわからない。

「そうだよ。ほっとけばあの子だっていつイジメを始めるかわからないってことじゃん」
「そうかな?」
私はますます首を傾げた。

あの大人しい結香が父親と同じような非道なことをするとは思えない。
だけど横にいる恵はそう信じて疑っていないようだ。
「じゃあ、あの子がイジメを始めたら私達で止めるってこと?」

「そんなんじゃ生ぬるいよ!」
恵が握りこぶしをつくる。
その目がギラギラと輝いているように見えてたじろいだ。

「絵梨のお母さんがやられたことを、そのままあの子にやればいいんだよ!」
「えぇ?」
驚きすぎて思わず声が大きくなる。

公園の横を犬の散歩をしながら通り過ぎていった老女が何事かとこちらへ視線を向けた。
「それって、あの子をイジメるってこと?」
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