過去夢の少女
声を小さくして聞きかえすと恵は躊躇なく頷いた。
「そんなことしたら私達が悪者になるよ」
「別にいいでしょそんなこと。これは復讐なんだから」

「復讐って、私のお母さんの？」
恵が大きく頷く。

「ちょっと待ってよ。私のお母さんはそんなこと望んでないと思う。そりゃ、イジメは辛かったと思うけど、もう何年も昔の話だし」

「私言わなかったっけ？　イジメはどれだけ時間が経っても癒えるものじゃないんだよ。時間が解決してくれるなんて言葉は、加害者側にとってすごく都合のいい言葉でしかないの」

恵の言っていることが正しければ、お母さんはまだ高校時代のイジメを引きずっているんだろうか。

とてもそういう風には見えないけれど、学生時代の話の中に高校時代が出てこないことを思い出せば、避けていることは明白だった。

だいたい、河村浩司はちゃんとお母さんに謝罪をしたんだろうか？
それでお母さんが納得していれば、こんな夢は見なかったかもしれない。
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