過去夢の少女
少し歩いただけで崩れ落ちてしまいそうになるのは、前の時間が体育だったからだろうか?
記憶の中をたどってみると、途端にクラスメートたちの笑い声が脳裏に蘇ってきた。

そう、確かにここに閉じ込められる前は体育の授業をしていた。

今日はバスケットの授業だったけれど、途中で突き指をした生徒が出たため、先生はその生徒と共に保健室へ姿を消してしまったのだ。

そして、始まった。
『あ、手がすべったぁ!』

最初そんな風に言ってお母さんにボールをぶつけてきた生徒がいたのがキッカケだった。

この頃にはすっかりクラスで浮いた存在になっていたお母さんは、あっという間にボールの的にされてしまったのだ。

お母さんは20人近くいる女子生徒に囲まれてあちこちからボールをぶつけられた。
『痛い! やめて!』

どれだけ叫んでも誰も辞めてくれなかった。
傍観しているだけの生徒だってひとりもいない。
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