過去夢の少女

このときは女子生徒全員がお母さんをあざ笑い、ボールを手に持っていたのだ。

最初は軽くぶつけるだけだった子たちも次第にエスカレートしていき、全力でボールを投げつけ始めた。

お母さんはそれをキャッチすることができず、体のあちこちにボールがぶつかる。

その場にうずくまって両手で頭をガードして『やめて。お願いやめて』と言う消え入りそうな声を出すのが精一杯だった。

前の時間になにが起きたのか理解した私は思いっきりドアを殴りつけた。
『誰か開けて！　誰か！』

外からは誰の声も聞こえてこない。
鍵はしっかりと施錠されていて、どれだけ力を込めてみてもビクともしない。

『誰か開けてよ！』
ドアを殴り、蹴り、大きな声を上げても誰も来ない。