過去夢の少女
☆☆☆

目を覚ましたとき、私の両頬には乾いた涙の後が残っていた。
上半身をベッドの上に起こすと、あちこちが痛む気がする。

もちろんそれは気のせいなのだけれど、夢の中で感じた痛みはしっかりと自分の胸に刻み込まれている。

「なんであんなひどいこができるの……」
私はベッドに座ったまま自分の両手を抱きしめた。

誰ひとりとしてお母さんを助けようとしなかった、あの時の映像が蘇ってくると自然と涙が溢れ出す。

あれだけ沢山の人がいて、どうして誰も止めなかったのか。
どうしてひとりも声を上げなかったのか。

それが恐ろしくて仕方ない。
そしてもうひとつ。
自分の母親にあれだけの思いをさせるキッカケを作った河村浩司を死んでも許さないと誓ったのだった。
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