イケメン転校生に恋をした


 「ねえ、大翔君」

  私はおずおずと大翔君に訊く。

 「どうした?」

 「優希ってそんなにロミオがしたかったの?」

 大翔君なら、何か知っているかも。
 だって幼馴染なんだもん。
 何か知っててもおかしくない。


 「いや、分からんな」
 「分からないんだ」
 「そもそも、まさか優希と被ってしまうとは思わなかったな」


 やっぱり、大翔君も分からないんだ……。


 「ただ、俺になっても優希になっても知り合いとキスシーンになるな、花」
 「ちょっと、大翔君!!」


 私は思わず叫んだ。
 大声で言わないでよ。
 それに、キスシーンだって、たぶん、本当にキスするわけじゃないだろうし。


 「お二人共話し合いの最中なんですけど」


 声が大きすぎたのか、文化委員長に怒られてしまった。


 「大翔と花、もしかして僕について話してる?」


 しかも、優希も反応している。
 今の会話聞かれてたのかな。


 「もちろんだよ」


 そう返したけど、少し恥ずかしい。
 影口をとがめられたみたいで。


 「ふふ、それには深いわけがあるんだ。僕が男装して劇に出たいという理由が」
 「大したことのない理由じゃねえか」
 「大した理由だよ。それにジュリエット役が花だし。そこも大事だよ」


 それに対して、大翔君は難しい顔をした。考え込んでいるのだろう。どうやら、大翔君には理解が出来てないようだ。
 私も、髪の毛切るまでか? と、少し思ってしまう。でも、男装にあこがれを持つという事には、軽く理解できる。
 言われればやってみたい気持ちも分かる。


 私には恐らく無理だろうけど。

< 84 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop