夜空に月光を。
「ふふっ初、もうごちそうさましていいよ?」

「でも…」

翠が用意してくれた朝ごはんを残すわけにはいかない

でも、正直私のお腹は限界だった

私のそんな様子を見て、先に食べ終わっていた翠は微笑んでいる

「俺、食べていい?初って少食なんだな
だから、そんなほっそいんだよ」

私の目の前に置かれたお皿がひょいっと取られる

ご飯なんて意識して食べてこなかった

お腹が空けば、適当にコンビニで買ったりして、食べていた

自炊も、1人だし作ろうなんて気はそもそも起きなくてしてこなかった

だから、すいすいと作っていく翠をみて私は唖然としていた

そんな私を見て翠は笑ったけど

「ごめん」

「んな事で謝るな
初の食べれる量聞かずに勝手に盛った俺が悪いし。
美味しかった?」

「うん、!」

ご飯が美味しいなんて今まで感じたことはなかったけど、翠のご飯はほんとに冗談抜きで美味しいってこういうことなんだって

翠は私の知らないたくさんの感情を教えてくれる

「ん、なら良かった
これ食べ終わったら、買い物行くぞ」

え?買い物、?

翠の斜め上からの提案に私は驚いた

「色々必要なもん揃えに行くぞ
ベッドとか、コップとかこの家に一式ずつしかないから必要だろ」

「いいよ!申し訳ない!
私、ソファでも床でもどこででも寝れるし!」

「俺がんな事させるわけないだろ?
いいから、なんも言わずに黙ってついてこい」


そう言われてから、私が色々言っても翠は全くと言っていいほど聞く耳を持ってくれなかった
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